会長挨拶

資源地質学会会長あいさつ

五味 篤

 2020年度と2021年度の資源地質学会の会長を務めされていただくことになりました。長年ペルーなど主に海外の資源開発の現場に勤務しておりましたが、そういった経験を踏まえて資源地質学会の発展に幾らかでも貢献すべく努力して参りたいと存じます。
 目下ご承知のように、COVID-19の蔓延拡大によって世界的規模で政治的にも経済的にも大きな影響が出て、変則的な日常生活を強いられています。一旦蔓延が収束するように見えても第二波や第三波の危険性があることや、発展途上国での蔓延拡大、そして有効な治療薬やワクチンの開発や自由な国の行き来を考えると、世界保健機構WHOが世界的な収束宣言を発出して事態が正常化するまでには、まだかなりの期間を要するものと思われます。
 このような時期において、本学会の運営も変則的な対応を強いられることとなり、結果として皆様には相当なご迷惑をお掛けすることが出てくるものと憂慮しています。しかし、この難局を乗り切って、本学会が本来の活動を行い、目的を成就できるよう、学会執行部の方々と知恵を集約して頑張って前進したいと存じますので、会員の皆様におかれましては、どうかよろしくご理解とご協力をお願いする次第です。
 さて、資源産業は近代日本の産業基盤を築いた重要な産業分野として、社会経済に大きく貢献してきました。資源産業で培った経済力や技術力は、やがて化学工業や電気・機械などの製造業に応用され、経済発展の一翼を担ってきました。発展途上国においても資源産業は自国の社会経済の発展にとって重要不可欠な存在となっています。
 以前は日本国内でも資源地質学の応用の大きな成果といってよい黒鉱鉱床をはじめ数多くの鉱山が盛んに稼行され、なお不足する資源を求めて産業界は官学界の応援を得て積極的に海外に展開していました。海外でも大型鉱床発見の報が絶えず聞かれ、暫く人類社会は当面は充分な鉱物資源を確保できているような錯覚さえ覚えた時期もありました。
ところが、最近の世界の状況を見ると、地球上の陸地の地表近辺の探査が一巡したためか、探査モデルのアイデアが枯渇したためか、2010年くらいを境に大型鉱床発見の報に接することが減ったと感じられるばかりでなく、旺盛な資源需要に伴って、かつて無尽蔵と思われた大型鉱床も次々と終掘を迎えているように感じられます。
 こうした状況において、環境影響に充分な配慮をしつつ、資源地質学的に潜頭性の新規鉱床を効率的に発見していく探査技術の向上は、鉱床生成の場と条件に関する研究と相まって、近い将来において益々強く求められてくるものと思われます。深度が増せば乗数に比例して探査難度が増しますが、より多くの資源地質学的な基礎研究とその応用技術を、学究者と技術者と行政が互いに共有して研鑽していく体制を強化し、こうした要請に応える必要があるものと考えます。それは日本にとどまらず、国際英文誌や国際シンポジウムを通じて隣国たるアジア地域をはじめとして国際的な情報共有を通じて推進されるべきと考えます。
 そうした活動を資源地質学会が主導的に担って社会経済に貢献をしていくこと、また、産学官界での未来の資源探査・開発を担う次世代への人材育成への支援を充実すること、が当面の重要な課題だと信じる次第です。 皆様の益々のご理解とご協力を賜って、この困難な局面のなか、本学会の益々の発展を推進したいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。